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若月
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わかつき
すると
良人は
私と
意見が
違いまして、それは
余り
面白くない、
是非『
若月』にせよと
言い
張って、
何と
申しても
肯き
入れないのです。
そういったのは、この鉱山事務所の次長で、
若月さんという技師だった。
私は
内心不服でたまりませんでしたが、もともと
良人が
見立ててくれた
馬ではあるし、とうとう『
若月』と
呼ぶことになって
了いました。
そうそう
私が
現世の
見納めに
若月を
庭前へ
曳かせた
時、その
手綱を
執っていたのも、
矢張りこの
老人なのでございました。