花瓶くわへい)” の例文
雑然としてあちこちに置かれてある置物や豹の皮や、時計や花瓶くわへいなどが、彼の交際範囲を説明するに十分参考になるものであつた。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
花屋はなやへ這入つて、大きな白百合しろゆりはなを沢山つて、それげて、うちかへつた。はなれた儘、ふたつの花瓶くわへいけてした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
蘭軒は又茶山に花瓶くわへいを贈つた。前詩の次に「同前贈一花瓶」として一絶がある。「天涯別後奈相思。駅使梅花有謝期。今日贈君小瓶子。插芳幾歳侍吟帷。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
代助は花瓶くわへい右手みぎてにあるかさねの書棚しよだなまへへ行つて、うへに載せた重い写真帖を取りげて、ちながら、きん留金とめがねはづして、一枚二枚とり始めたが、中頃迄てぴたりとめた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
花瓶くわへいは日々坐右におき、今日は杜若かきつばた二りんいけゐ申候。四季ざき也。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)