至誠しせい)” の例文
で、十竹の報告を得ると、かれは、天意というか、天縁てんえんというか、自分の至誠しせいがあるものにとどいたようなここちがして、あくる朝
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
始終私どもの講義を聞いて、ここにはじめて神の正しく儼存げんぞんたまううえは、至誠しせいってこれを信じその道を尽し、その法を修めんには
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あの乃木さんの死というものは至誠しせいよりでたものである。けれども一部には悪い結果が出た。それを真似して死ぬ奴が大変出た。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
〔譯〕雲煙うんえんむことを得ざるにあつまる。風雨ふううは已むことを得ざるにる。雷霆らいていは已むことを得ざるにふるふ。こゝに以て至誠しせい作用さようる可し。
しかし人間にんげん至誠しせいもうすものは、うした場合ばあいたいしたはたらきをするものらしく、くしびなかみちからわたくしからむすめに、むすめから小供こどもへと一だうひかりとなってそそぎかけ
同志たちの至誠しせいが天に通じてこの人をいま地にくだし給うかとさえ思われて、神助へ手を合わせたいほどだった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君は、吾輩が至誠しせい病院でたおれたことを覚えているだろう」
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)