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聞濟
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きゝすま
大膳は
聞濟し夫は近頃
不了簡の女なりなど
云程なく
枕には
着たり已に其夜も
追々に
更わたり
丑滿頃となりければ大膳は
密かに
起出間の
襖を
忍明ぬき足に彼女を
詰て
聞居たり斯くとも知らず
元來お菊は
愚なれば小袖金子を見て
忽ち
心迷ひ何の
思慮もなく承知をぞなしたりける又長助は
篤と樣子を
聞濟し早々又七に右の
事故を
天一坊樣へ日向守
御目通り致し
直に
御伺ひ申度儀御座候得ば明日御
役宅迄天一坊樣に
御入來ある樣との
趣きなりと
述ければ大膳は
篤と
聞濟し其段は一
應伺ひの上
御返事に及び申べしと座を