“耳環(みゝわ)” の例文
想ふに羅馬市には、黄金(こがね)の耳環(みゝわ)を典して、客人を贖(あがな)ひ取ることを吝(をし)まざる人あるならん。拿破里(ナポリ)の旅稼(たびかせぎ)は、その後の事とし給はんも妨(さまたげ)あらじ。
跪(ひざまづ)いて、彼はその寶物を彼女の足下に置く。信じられぬといふ容子と喜びとが彼女の顏付と身振りとに表はれる。旅人はその腕環(うでわ)を彼女の腕に耳環(みゝわ)を耳に着けてやる。
窓際(まどぎは)の紫檀(しだん)の卓(たく)を挾(はさ)んで腰(こし)を降(おろ)し、お互(たがひ)に疲(つか)れ顏(がほ)でぼんやり煙草(たばこ)をふかしてゐると、女(をんな)が型通(かたどほ)り瓜子(クワスワ)と茶(ツア)を運(はこ)んでくる。一人(ひとり)は丸顏(まるがほ)、一人(ひとり)は瓜實顏(うりさねがほ)、其(それ)に口紅(くちべに)赤(あか)く、耳環(みゝわ)の翡翠(ひすゐ)が青(あを)い。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)