しこ)” の例文
しこうして更にその午後、とみ嬢は生垣を毟るよりも活溌に洗濯をしながら、「お世話をしてあげる者がなくっては、なくっては」
風流化物屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
孔子曰く、後世、丘を知らんとする者は、春秋を以てせん、しこうして丘をつみせんとする者もまた春秋を以てせん。(『孔子全集』、一九七五)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
しかしこうして、神楽坂を離れて牛込はなく、牛込に住んでいるといえば、それは神楽坂に住んでいるというも同然である。
早稲田神楽坂 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
しこうしてその結果はまたこれを海に流す七日目よりも、かえってその前の六日間を、重んずる傾向を強くしたのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかしこうして其処は実に東西四里にわたる松原のうち最も老松に富み、最も雑木が茂り、最も幅広く、千本松原の眼目とも謂ふべき位置に当るのである。
沼津千本松原 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
一、およそ生れて人たらば、よろしく人の禽獣に異なる所以ゆえんを知るべし。けだし人には五倫あり、しこうして君臣、父子を最も大なりと為す。故に人の人たる所以は、忠孝を本と為す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
何事にも、いわゆる再三謙辞して、しこうして受く、というのが礼節とされている。まして天下のそしりをくらますには、より厳かに、その退謙たいけんと辞礼を誇大に示すのが、策を得たものではないでしょうか。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子曰く、国をおさむるには礼を以てし、(礼は譲を貴ぶ、しこうして)その言譲ならず、是の故に之を哂えり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
しこうしてその熱望がしばしば奇跡を招来し得ることは青史せいしの証明するところである。
しかしこうして天下の人、まさに安然として計を得たりと為す。神州の地に生れ、皇朝の恩をこうむり、内は君臣の義を失い、外は華夷の弁をわすれば、学の学たる所以ゆえん、人の人たる所以、それいずくにりや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)