翁草おきなぐさ)” の例文
猿猴草ゑんこうさう翁草おきなぐさ、オンファロオド、粉粧つくりが足りない尋常の化生けしやうのものよりも、おまへたちのはうがわたしは好だ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しかるに赤井越前守が京都町奉行に任ぜられた時、これを廃したことがあったが、「翁草おきなぐさ」の著者はこれを批難して
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
近くは天明の初年に、上州伊香保いかほ木樵きこり、海尊に伝授を受けたと称して、下駄灸げたきゅうという療治を行ったことが、『翁草おきなぐさ』の巻百三十五にも見えている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それに入口の板の間が広く、柱が大きくて、ありゃ国宝ものですよ。それに浅間の裾野一帯が落葉松からまつ林でしてね。や、翁草おきなぐさがずいぶん咲いていましたぜ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
この擬書ぎしょ翁草おきなぐさに拠って作ったのであるが、そのほかは手近にある徳川実記(紀)と野史やしとを参考したに過ぎない。皆活板本かっぱんほんで実記(紀)は続国史大系本である。
しずかにためらいつつ部屋の内に進み、始終物をおそるる如く四辺あたりを見廻す。娘は片手に伊太利亜種イタリアだねの赤き翁草おきなぐさの花の大束を持ち、片手に柑子を盛りたるかごを持ちいる。
もっとも、古今武家盛衰記、諸家興廃記、翁草おきなぐさ等の記すところは少しく趣を異にしていて、隼人正の大坂脱出を九月十七日の夜であるとし、津山甚内を乳母の父津山喜内と云う者であるとし
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
からだは翁草おきなぐさの髪のやうに亜麻色の毛におほはれ
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
この話は『翁草おきなぐさ』に出ている。池辺義象いけべよしかたさんの校訂した活字本で一ペエジ余に書いてある。私はこれを読んで、その中に二つの大きい問題が含まれていると思った。
高瀬舟縁起 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
翁草おきなぐさ、吟味してみやびた物言ばかりなさるマダアム・プレシウズ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
此話は翁草おきなぐさに出てゐる。池邊義象よしかたさんの校訂した活字本で一ペエジ餘に書いてある。私はこれを讀んで、其中に二つの大きい問題が含まれてゐると思つた。一つは財産と云ふものの觀念である。
高瀬舟縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)