総立そうだ)” の例文
見物人けんぶつにんはいつか総立そうだちになっていました。そして新吉のからだが、ファットマンの鼻の先でみごとにすくい上げられたとき、見物人はどっと声をあげてよろこびました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
とばかり、一どに総立そうだちになるやいなや、民部みんぶの上へ、どッとなだれを打ってきたつるぎ怒濤どとう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると長持ながもちの上にていた二ひきねこ目早めばやつけて、いきなりりて、ねずみをまわしました。みんなは「あれあれ。」とさけんで、総立そうだちになって、やがて御殿中ごてんじゅうおおさわぎになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
風や冬とよみ飛び立つ大族おほやから総立そうだつ鴨の羽ばたき凄し
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かれのみか、丹羽昌仙にわしょうせん蚕婆かいこばばあ穴山あなやま残党ざんとう足助あすけ佐分利さぶりの二名、そのほかなみいる野武士のぶしたちまで、みな総立そうだちとなり、あさましや、歓楽かんらくの席は、ただ一声ひとこえで乱脈となった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのほかお小姓こしょうとんぼの連中れんじゅうまでが、総立そうだちになって、裏手うらてへまわってきそうなぶり。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)