紺染こんぞめ)” の例文
風折烏帽子かざおりえぼしむらさき懸緒かけおを着けたに負けない気で、この大島守は、紺染こんぞめ鎧直垂よろいひたたれの下に、白き菊綴きくとじなして、上には紫の陣羽織。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
阿波藍あわあい」といって、日本全土に行き渡り、おそらく紺屋こうやという紺屋、皆多かれ少かれここの藍を用いました。それというのもかつては吾々の着物のほとんど凡てが紺染こんぞめであったからによります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
だが、お通が今いる所は、漁師りょうしの家ではなく、そこらの松の枝や干し竿ざおに、かけ渡してある藍染あいぞめの布を見ても直ぐ知れるように、飾磨染しかまぞめと世間でよぶ紺染こんぞめを業とする小さい染屋の庭にいるのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
屋號やがう樓稱ろうしようかは。)と、(まつ。)とあゐに、紺染こんぞめ暖簾のれんしづかに(かならず。)とかたちのやうに、むすんでだらりとげたかげにも、のぞ島田髷しまだえなんだ。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)