筋合すじあい)” の例文
そういったこの男の言葉は、いつわりがなかった。自分でげこんで置いて、自分で助けたんだから、礼をされる筋合すじあいはない筈だった。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
幸「もとお出入りをしたお屋敷の御妾腹ごしょうふくと云うが、けれどもお眼に懸った事もねえが、何んだかお可愛そうな様な筋合すじあいがあるのだよ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もとよりこばむべき筋合すじあいのものでございませぬから、わたくし早速さっそく身支度みじたくしてこの親切しんせつな、いたる竜神りゅうじんさんのあとについて出掛でかけることになりました。
ただ一つ確かなことは、シプトン氏が「私はこの問題については門外漢で、くちばしを入れる筋合すじあいのものではないが」
自殺者は別に勇気があるわけでさえない、無論、どう考えてみても是を気取れる筋合すじあいのものではないが、併し自殺者は必ずしも莫迦だとは結局思えなかった。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
雑誌社としては無題を迷惑がる事察するにあまりあれど、さりとて他人がみだりに命題すべき筋合すじあいにあらざるを以て、しいてそのまま掲出すべきことを希望せり。
遺稿:01 「遺稿」附記 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
雑誌社としては無題を迷惑がる事察するにあまりあれど、さりとて他人がみだりに命題すべき筋合すじあいにあらざるを以て、しいてそのまま掲出すべきことを希望せり。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、いうので、いな筋合すじあいもないから、しめし合せて、自分の家へ、早速、娘をかくまってやっているので——ただそれだけの理由なので——と、又八は頻りとそこのところを繰返して言い訳する。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから、白木に対し、正面から抗議を申込むわけにもいかない筋合すじあいがあった。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)