立会たちあい)” の例文
旧字:立會
もって、く最近のことですが、大学の理科主任教授里見さとみ先生立会たちあいの上、例の容疑者三名について興奮曲線を取り直してみたのです
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのうちに、地方裁判所の一行も現場げんじょうへ到着した。八時半頃になって、署長と検事とが立会たちあいで証拠人の仮審問がはじまった。
誰が何故彼を殺したか (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
ソレカラ唯今ただいま申す通り実父じっぷ同様の緒方先生が立会たちあいで、内藤数馬先生の執匙で有らん限りの療治をして貰いましたが、私の病気も中々軽くない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
要するに山芋やまいもうなぎすずめはまぐりとの関係も同じで、立会たちあいのうえで甲から乙へ変化するところを見届けぬかぎりは、真の調書は作成しえなかった道理である。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さらぬだに緊張していた仮白洲は、二名の横目付の立会たちあいを加えたので、一層、ただならぬ空気をみなぎらした。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、それは何もすべてのその種の「発見」または「発明」を、一々科学者が立会たちあい実験をするか、または再試してみる必要があるということにはならない。
千里眼その他 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
異人さんと口をくには打ってつけのお方じゃありませんか、あんなお方が一口立会たちあいをなされば、あなた、六百万の一割のさやをいただいても六十万両——万事その伝なんですから
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
家主いえぬしも驚きまして引取りに参り、御検視お立会たちあいになると、これは手のすぐれてる者が斬ったのであるゆえ、物取りではあるまい意趣斬りだろうという。なれども貞宗の刀が紛失ふんじつしている。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いかにも晴がましく候て、心苦しく候えども、これまた主命なれば是非なくそろ立会たちあいは御当代の御名代ごみょうだい谷内蔵之允たにくらのすけ殿、御家老長岡与八郎殿、同半左衛門殿にて、大徳寺清巌実堂和尚も臨場りんじょうせられ候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
『さあ、お立会たちあい、ただ見ていても、つまるまい。賭け召されい。なんぼうでも、賭けてこそじゃぞ』
又新吉さんが煙草屋をして居ては足りなかろうから、月々二両や三両位はすけるから、何卒どうぞ伯父さん立会たちあいの上、話合はなしあいで、表向おもてむきプッヽリと縁を切る様にしたいから何卒どうか願います、と云うのだが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その事情というのが先生を興奮に導き、私たちをって原因探究の実験に熱中させる一つの要因でもあったのである。査問会の物々しい席上にも私たちまで顔を出し、最後に立会たちあい実験までもした。
「この度の処分はただ一つしかないとわたくしは思う。玄碩げんせきさんはわたくしの宅で詰腹つめばらを切らせます。小野さんも、おあねえさんも、三坊も御苦労ながらお立会たちあい下さい。」言いおわって貞固はきびしく口を
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)