積雪せきせつ)” の例文
アルプス山中の万年雪まんねんゆきまでがどんどんとけ出した。雪渓せっけいの上を、しぶきをあげて流れ下る滝とも川ともつかないものが出来、積雪せきせつはどんどんやせていった。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
未開人民みかいじんみんの現状に由つて考ふれば遮光器の必要ひつえう積雪せきせつ多き時に於て殊に深くかんずるものの如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
積雪せきせつのために汽車きしやとまつて難儀なんぎをするとへば——旅籠はたごらないで、すぐにおよねさんのもとへ、うだ、つてけなさうなことはない、が、しかし……と、そんなことおもつて
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
辻売つじうりる処売物うりもの台架だいたなもみな雪にて作る、是を里言りげんにさつやといふ。○獣狩けだものがり追鳥おひとり。○積雪せきせついへうづかへつ寒威かんゐふせぐ。○なつ山間やまあひの雪を以て魚鳥うをとりにく擁包つゝみおけば敗餒くさらず。
見はるかす積雪せきせつの原である。何か氷山の一部らしい。その広野の中を自然に細長い行列を組んでモーニング姿の者が前進ぜんしんして先方の低い丘陵きゅうりょうのかなたに消えて行く、何千という数だろう。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)