ほんと)” の例文
旧字:
お母さん、ほんとに民子は可哀相でありました。しかし取って返らぬことをいくら悔んでも仕方がないですから、跡の事をねんごろにしてやる外はない。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「何だ。そんな事を言ってまっか。ひどい奴やな。そんなら、土産を持って来たけれどやるまい。ほんとにひどい奴やな」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『まあ然うですか。ちよつとお手紙にも其麽そんな事があつたつて、新太郎が言つてましたがね。お前さん達、まあ遠い所をよくお出になつたことねえ。ほんとに。』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
二人は呆れるお静を後に、ほんとに鳥のように飛んで行ってしまいました。
あえ造詣ぞうけいが深いというのでは無いが、いい書画を見た時ばかりは、自然と頭が下るような心持がする。人に頼まれて書を書く事もあるが、自己流で、別に手習いをした事は無い。ほんとの恥を書くのである。
『私……いや……ほんとに忘れてしまつて居た。どうも失礼しました』
『おやう。まあ甚麽どんなにかうちぢや御世話様になりましたか。ほんとに遠い所をよく入来いらしつた。まあ/\お二人共自分の家へ来た積りで、ゆつくり見物でもなさいましよ。』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
雖然だどもなす、お八重さん、源助さんほんとに伴れてつてえべすか?』とお定は心配相に訊く。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『そですかぢやない。ほんとに渇くんだよ、昨晩少し飲んで来たからな。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)