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皈
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かえ
ふりがな文庫
“
皈
(
かえ
)” の例文
杖笠を棄てて
彳
(
たたず
)
んだ順礼、
道
(
どう
)
しゃの姿に見せる、それとても行くとも
皈
(
かえ
)
るともなく
煢然
(
けいぜん
)
として独り
佇
(
たたず
)
むばかりで、往来の人は
殆
(
ほとん
)
どない。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
而
(
そ
)
してきび/″\した筆致と幼き日を慕ふ情緒とを持つた大文学者の卵は夏になると、
定
(
き
)
まつて東京から日本海の荒波の音の絶えぬ故郷へ
皈
(
かえ
)
って来るのであつた。
若芽
(新字旧仮名)
/
島田清次郎
(著)
団子坂へ行く者
皈
(
かえ
)
る者が
茲処
(
ここ
)
で落合うので、処々に
人影
(
ひとかげ
)
が見える、若い女の笑い
動揺
(
どよ
)
めく声も聞える。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
姉は鮨を食べ終わると時計を気にしながらこう云い置いて
皈
(
かえ
)
って行った。
父
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
部屋へ
皈
(
かえ
)
って、仰向けに倒れた耳に、
添水
(
そうず
)
がカーンと聞こえました。杵の長い顔が笑うようです。渓流の上に月があって。——
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
青森の親元へ
沙汰
(
さた
)
をする、手当薬療、息子の腰が立つと、手が切れた。むかいに来た親は、
善知鳥
(
うとう
)
、うとうと、なきながら子をくわえて
皈
(
かえ
)
って
行
(
ゆ
)
く。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やっと、お天気になったのが、仙台からこっちでね、いや、馬鹿々々しく、
皈
(
かえ
)
って来た途中ですよ。」
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
良
(
やや
)
ありて
渠
(
かれ
)
の身を起し、
旧
(
もと
)
来し方に
皈
(
かえ
)
るを見るに、その来りし時に似もやらで、太く
足許
(
あしもと
)
の
踽
(
よろめ
)
きたりき。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
東京に
皈
(
かえ
)
ればパッと皆消える……日記を出して話した処で、鉛筆の削屑ほども人が気に留めそうな事でない、
婦
(
おんな
)
たちも、そんな事より釜の底の火移りで翌日のお天気を占う方が忙しいから
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土手には
田芹
(
たぜり
)
、
蕗
(
ふき
)
が満ちて、
蒲公英
(
たんぽぽ
)
はまだ盛りに、目に幻のあの白い小さな車が自動車の輪に競って飛んだ。いま、その
皈
(
かえ
)
りがけを道草を、
笊
(
ざる
)
に洗って、縁に近く晩の卓子台を囲んでいたが
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姫神
(
ひめがみ
)
——明神は女体にまします——
夕餉
(
ゆうげ
)
の料に、思召しがあるのであろう、とまことに、平和な、安易な、しかも極めて奇特な
言
(
ことば
)
が一致して、裸体の白い娘でない、
御供
(
ごく
)
を残して
皈
(
かえ
)
ったのである。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
腰を
屈
(
かが
)
めて地に伏し、合掌しつ、礼拝しつ、頭を木の幹に打当つるなど、今や天地は己が独有に
皈
(
かえ
)
せる時なるを信じて、他に我を見る一双の眼あるを知らざる者にあらざるよりは、到底
裏恥
(
うらはず
)
かしく
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出がけの意気組が意気組だから、それなり
皈
(
かえ
)
るのも詰りません。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
皈
部首:⽩
9画
“皈”を含む語句
皈家
皈洛
走皈
逃皈
持皈
皈國
皈國中
皈途
送皈
飛皈