白髯しろひげ)” の例文
白髯しろひげの爺さんは、薬屋の店にかへつてきました。そしてシロとクロをあひてに……話をした……といふとをかしいでせうか。
シロ・クロ物語 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
「かしこまりました」白髯しろひげ大臣だいじんはよろこんで子供こどものように顔を赤くして王さまの前を退がりました。
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この時に若い愛らしい婦人が、群衆を押し分けて、リツプの側へ近寄りました。この白髯しろひげおきなの貌に驚いてか、抱いて居た頬のふくれた子は、声を放つて泣出しました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
『無論市村さんは当選に成りませう。』と応接室では白髯しろひげの町会議員が世慣よなれた調子で言出した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その光で、祖父ジャン・ミシェル老人の赤ら顔や、硬い白髯しろひげや、気むずかしい様子や、鋭い眼付などが、照らし出される。老人は揺籃のそばに寄ってゆく。その外套がいとうは雨にぬれた匂いがしている。
穂の短かいさきに毛の下がった三国志さんごくしにでも出そうな槍をもつ。そのビーフ・イーターの一人が余のうしろに止まった。彼はあまりの高くない、ふとじし白髯しろひげの多いビーフ・イーターであった。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
甚兵衛はびっくりして、なおいろいろたずねましたが、白髯しろひげのおじいさんはをつぶったきり、もうなんともこたえませんでした。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
その人は白髯しろひげでやはり牧師らしい黒い服装ふくそうをしていましたが壇にのぼって重い調子で答えたのでした。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
十日に一度くらゐでてくるのですが、町の人たちはよく知つてゐて、薬屋の爺さんとか、白髯しろひげの爺さんとかいつてゐます。薬屋がしやうばいで白髯があだ名です。
シロ・クロ物語 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
白髯しろひげのおじいさんがひょっこり出て来てにこにこ笑っています。五右衛門は泣かんばかりに願いました。
泥坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ちょうど半月はんつきばかりたった時、その日も甚兵衛はたずねあぐんで、ぼんやり家にかえりかけますと、ある河岸かし木影こかげに、白髯しろひげうらなしゃつくええて、にこにこわらっていました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
甚兵衛はその白髯しろひげのおじいさんの前へ行って、人形の行方ゆくえうらなってもらいました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)