白身はくしん)” の例文
鱗に、爪に、角に、一糸掛けない白身はくしんいだかれ包まれて、渡津海わたつみの広さを散歩しても、あえて世にはばかる事はない。誰の目にも触れない。人はゆびさしをせん。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雨を得た市民が、白身はくしん破法衣やれごろもした女優の芸の徳に対する新たなる渇仰かつごう光景ようすが見せたい。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こひは、それこひでせう。が、たまのやうな眞白まつしろな、あのもり背景はいけいにして、ちういたのが、すつとあはせた白脛しろはぎながす……およ人形にんぎやうぐらゐな白身はくしん女子ぢよし姿すがたです。られたのぢやありません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
糸も掛けない素の白身はくしん、雪の練糸ねりいとを繰るように、しなやかなものである。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其處そこへもて、白身はくしん婦人をんなるのかもれません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)