なや)” の例文
「像の数を盛んに殖さないと吾等の市の繁栄に関はるばかりでなく、就職難になやんでゐる若者達の救ひ道が開けないからな。」
山彦の街 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ゆきよりしろく、透通すきとほむねに、すや/\といきいた、はいなやむだ美女たをやめ臨終いまはさまが、歴々あり/\と、あはれ、くるしいむなさきの、ゑりみだれたのさへしのばるゝではないか。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
前の晩、卑しい妄想になやまされて到々明方までまんじりともしなかつた。夜が明けて救はれた気がした。湯をわかすことを命じてから暫くうと/\した。厭な夢ばかり見続けた。
明るく・暗く (新字旧仮名) / 牧野信一(著)