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異郷
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いきょう
彼女の
体は、
異郷の
土の
中に
葬られてしまいましたが、その
年のサフラン
酒は、いままでになかったほど、いい
味で、そして、
美しい
紅みを
帯びていました。
すでに、
去年のいまごろ、
塹壕の
中で、
異郷の
空を
見ながらいった、
戦友の
言葉が、
思い
出されたのでした。
毎日、
毎日、
沖の
方を
見ては、
通る
船を
見ていますうちに、そのかいもなく、ふと
病にかかって、それがもとになって、
遠い
異郷の
空でついに
死くなってしまいました。