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がしつ
その
画室の
中ほどに、
煙草盆をはさんで、
春信とおせんとが
対座していた。おせんの
初な
心は、
春信の
言葉にためらいを
見せているのであろう。
留めるのもきかずに
松五
郎が
火のようになって
出て
行ってしまった
後の
画室には、
春信がただ
一人おこのの
置いて
行った
帯を
前にして、
茫然と
煙管をくわえていたが
赤とんぼが
障子へくっきり
影を
映した
画室は、
金の
砂子を
散らしたように
明るかった。