“用意(ようゐ)” の例文
『用意(ようゐ)!。』と武村兵曹(たけむらへいそう)が叫(さけ)ぶと、二名(にめい)の水兵(すいへい)は車中(しやちう)の大旅櫃(だいトランク)の中(なか)から、一個(いつこ)の黒色(こくしよく)の函(はこ)を引出(ひきだ)して來(き)た。此(この)函(はこ)の中(なか)には、數(すう)十個(こ)の爆裂彈(ばくれつだん)が入(はい)つて居(を)るのである。
それより、鐵車(てつしや)に紀念塔(きねんたふ)を積入(つみい)れ、小銃(せうじう)、彈藥(だんやく)、飮料水(いんりようすい)、糧食等(りようしよくなど)の用意(ようゐ)に日(ひ)を暮(くら)して、さて其(その)翌日(よくじつ)となると、吾等(われら)撰任(せんにん)されたる五名(ごめい)は未明(みめい)に起床(おきい)でゝ鐵車(てつしや)へ乘組(のりく)んだ。
そこで用意(ようゐ)が整(とゝな)ふと、吾等(われら)は手(て)に/\一個(いつこ)宛(づゝ)の爆裂彈(ばくれつだん)を携(たづさ)へて立上(たちあが)つた。兼(かね)て用意(ようゐ)の鳥(とり)の肉(にく)を、十斤(きん)ばかり鐵檻(てつおり)の間(あひだ)から投出(なげだ)すと、食(しよく)に飢(う)ゑたる猛獸(まうじう)は、眞黒(まつくろ)になつて其(その)上(うへ)に集(あつま)る。