瑞祥ずいしょう)” の例文
このたびの大乱の起るに先だちましては、まだそのほかに瑞祥ずいしょうと申しますか妖兆と申しますか、色々といやらしい不思議がございました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
里人は火に会ったのに不思議なと首をかしげ、これも御武運のつよいせいだ、いよいよ御本屋様の瑞祥ずいしょうであろうなどと解ったようなことを言いあった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故郷へ帰って来て、田沢家を起す、瑞祥ずいしょうはこれで分った、と下へも置かないで、それはほんとうに深切に世話をして、牡丹さん、牡丹さん、私の部屋が牡丹の間。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが今日残るもので就中なかんずく多いのは煙草入と錠とである。錠に附せられた模様はあるいは草、あるいは花、ある時は巴紋ともえもん、ある時は瑞祥ずいしょうの文字。寿福とかまたは康寧こうねいとか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その届いたことが右門の幸運に恵まれていた瑞祥ずいしょうで、また世の中で幸運というようなものは、とかく右門のような変わり者の手の中へひとりでにころがり込んできたがるものですが
年号の更定こうていには、国家の瑞祥ずいしょうを記念したものもあるがそれは大昔の話、後代は革令革命の理論に基づいて、まった年次にそれが行われた以外、大抵は何か望ましからぬ異変があった次の年に
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それも人を迷わしに来たのではない、人間と共に楽しみに来たのだから、それは怖いことではなく、賀すべきことである、いよいよこのお祭礼まつりの景気と瑞祥ずいしょうを示す所以ゆえんであると解釈がついてみると
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「何あに、明日黒鯛が釣れる瑞祥ずいしょうですよ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
このたびの大乱の起るに先だちましては、まだそのほかに瑞祥ずいしょうと申しますか妖兆と申しますか、色々といやらしい不思議がございました。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
はじめは瑞祥ずいしょうだと申しましたのを、娘が奉納して帰りました時分から、誰いうとなく、この春は大地震がある、大地震があるといい出しまして、手前なんざ、一日に五六たび
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「李粛。この天相は、なんの瑞祥ずいしょうだろうか」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
密々ひそひそ、話していやはったな。……そこへ、私が行合ゆきあわせたも、この杯の瑞祥ずいしょうだすぜ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日ごと夜ごとに一身の行末ゆくすえを思いわび、或いははかない夢を空だのみにし、或いは善きにつけしきにつけ瑞祥ずいしょうに胸とどろかせるような、片時の落居らっきょのいとまとてない怪しい心のみだれが
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
日ごと夜ごとに一身の行末ゆくすえを思ひわび、或ひははかない夢を空だのみにし、或ひは善きにつけしきにつけ瑞祥ずいしょうに胸とどろかせるやうな、片時の落居らっきょのいとまとてない怪しい心のみだれが
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)