焼残やけのこ)” の例文
旧字:燒殘
これに心つきて持たるたいまつにてなほたしかに見れば、たなをくゝしたるいのちのつな焼残やけのこりてあり。
昨日さくじつ火事見舞ながら講釈師の放牛舎桃林ほうぎゅうしゃとうりんの宅へ参りました処同子どうしの宅は焼残やけのこりまして誠に僥倖しあわせだと云って悦んで居りましたが、桃林のうちに町奉行の調べの本が有りまして
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
堂へかれて、はしら板敷いたじきへひらひらと大きくさす月の影、海のはてには入日いりひの雲が焼残やけのこって、ちらちら真紅しんくに、黄昏たそがれ過ぎの渾沌こんとんとした、水も山もただ一面の大池の中に、その軒端のきばる夕日の影と
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かくてもあられねばなく/\焼残やけのこりたるつなをしるしにもち、くらにたいまつもなく雪荒ゆきあれふかれつゝなみだもこほるばかりにてなく/\立かへりしが、をつと死骸しがいさへ見えざりしと