烟筒えんとつ)” の例文
それを少し離れて、二三げんの瓦屋根があつて、それに朝日がさした。小さい工場こうば烟筒えんとつからは、細い煙が登つてる。向ふの街道には車の通る音が絶えず聞える。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
噸數とんすう一千とんくらゐ二本にほん烟筒えんとつ二本にほんマストその下甲板げかんぱんには大砲たいほう小銃等せうじうとうめるにやあらん。いぶかしきまで船脚ふなあしふかしづんでえたそのふねが、いま闇黒あんこくなる波浪なみうへ朦朧ぼんやりみとめられたのである。
このながい烟筒えんとつ
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)