潮水しおみず)” の例文
もう大ぜい集まってきている人たちにいうと、徳田吉次とくだきちじのお父つぁんが、いそいでよごれたこしの手ぬぐいを潮水しおみずにぬらしてきた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
そのとおりに潮水しおみずを浴びて風に吹かれておりますと、からだじゅうの皮がこわばって、こんなにびりびりけてしまいました
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
その氷山ひょうざんながれる北のはての海で、小さな船にって、風やこおりつく潮水しおみずや、はげしいさむさとたたかって、たれかが一生けんめいはたらいている。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところがブッおれたと見ると直ぐに、兄イれん舷側ふなばたひきずり出して頭から潮水しおみずのホースを引っかけて、尻ペタを大きなスコップでバチンバチンとブン殴るんだから
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それならなぜ魚がそんなに丈夫なのかと云えばこれまた人間を待ってしかるのちに知らざるなりで、わけはない。すぐ分る。全く潮水しおみずを呑んで始終海水浴をやっているからだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見ていると、真水まみず潮水しおみずの中で、ほんとにみんなが生きて泳いでいるような気がします。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
そこは横浜の磯子いそごの海岸だった。私達は一日じゅう潮水しおみずつかったり潮風に吹かれたりして暮した。そしてその時を境として、私の肉体は生れ変ったように健康になったということである。
もとより完全なものではないが、浜辺に四角の大きな水ぶねをおいて、それに潮水しおみずをくみいれ、太陽の熱でもってその水気を蒸発じょうはつさせ、その底にのこった塩をかきあつめるようにしたのである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
その矛の刃先はさきについた潮水しおみずが、ぽたぽたと下へおちて、それがかたまって一つの小さな島になりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
砂をあらってやろうと思ってタネリは潮水しおみずの来るとこまで下りて行ってっていました。間もなくなみがどぼんと鳴ってそれからすうっと白いあわをひろげながら潮水がやって来ました。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
するとその潮水しおみずがかわくにつれて、からだじゅうの皮がひきつれて、びりびりけ破れました。うさぎはそのひりひりする、ひどいいたみにたまりかねて、おんおん泣きしておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「おれは学校の助手じょしゅだからさ。」私はついまたつりこまれてどなりました。するとすぐ私の足もとから引いて行った潮水しおみずはまたかえして波になってさっとしぶきをあげながらまたさけびました。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)