潤色じゅんしょく)” の例文
十九になる息子と、十八になる娘の恋患いの話などは、どう潤色じゅんしょくしたところで、大の男の話の種にはなりそうもありません。
文学ならば人聴ひとぎきい。これなら左程ぜにらぬ。私は文学を女の代りにして、文学を以って堕落を潤色じゅんしょくしていたのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
土地によって細部には少しずつの潤色じゅんしょくはあるが、大体の筋は互いによく似ていて、つまりは一種の異郷訪問だんの、思い切って童話化せられたものだった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
何故なぜと云って、この記録の重要な部分をす所の小山田おやまだ氏変死事件は、まだまだ世人せじんの記憶に残っているのだから、どんなに変名を用い、潤色じゅんしょくを加えて見た所で
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
もしその上に少しばかり潤色じゅんしょくほどこし、適当に口碑や伝説を取りぜ、あの地方に特有な点景、鬼の子孫、大峰おおみね修験者しゅげんじゃ、熊野参りの巡礼じゅんれいなどを使い、王に配するに美しい女主人公
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
昭和三年二月木村富子きむらとみこ女史が拙著『すみだ川』を潤色じゅんしょくして戯曲となしこれを本郷座ほんごうざの舞台にのぼした。その時重なる人物にふんした俳優は市川寿美蔵いちかわすみぞう市川松蔦いちかわしょうちょう大谷友右衛門おおたにともえもん市川紅若いちかわこうじゃくその他である。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「無論然るべく潤色じゅんしょくするさ」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
小説は一体如何どういうものだか、知らん、唯私の眼に映ずる小説は人間の堕落を潤色じゅんしょくするものだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そこで、種々いろいろと小説本を渉猟しょうりょうして、ついに当代の大家の作に及んで見ると、流石さすがは明治の小説家だ、性慾の発展の描写がたくみに人生観などで潤色じゅんしょくされてあって、趣味がある、面白い。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)