潜入せんにゅう)” の例文
そして城中にとらわれている黒田官兵衛の身と、この城下へ潜入せんにゅうしている黒田家の決死救出組の諸士の行動とをひそかににらみあわせて
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は自分の部下の警戒線をドンドン破って潜入せんにゅうし、それからパチノ墓地の秘密などをテキパキと調べてゆくことなど、実にあざやかだった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
出奔しゅっぽんした前太子蒯聵は晋の力を借りて衛の西部に潜入せんにゅう虎視眈々こしたんたんと衛侯の位を窺う。これをこばもうとする現衛侯出公は子。位をうばおうとねらう者は父。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
むろんそれは、手組てぐみいかだにのってほりをこえ、たちのそうどうにじょうじて、ここへ潜入せんにゅうしてきた、木隠龍太郎こがくれりゅうたろう巽小文治たつみこぶんじのふたりである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親子は、休むひまもなく自動車を雇って、そこから山越えをして四十五キロ先にある大きな都市へ潜入せんにゅうした。汽車の便はあったのであるが、それはけた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ウム、一あるな、ではじつを申さねばなるまい、まことは昨夜その伊賀者いがもの潜入せんにゅうを知ったのはかの源次郎げんじろうが働きじゃ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにかく一同は、この新兵器の潜入せんにゅうについて、極度きょくどの注意を払って貰わにゃならぬ。そして一台でも早く見つけたが勝じゃ。一秒間発見が早ければ千人の兵員を救う。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
「浜松のご城内へまで潜入せんにゅうして、君のおいのちをねらった不敵な伊那丸、生かしておきましては、ながく徳川とくがわもんをおびやかしたてまつるは必定ひつじょうとぞんじまして……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)