深山木みやまぎ)” の例文
跡にて口善惡くちさがなき女房共は、少將殿こそ深山木みやまぎの中の楊梅、足助殿あすけどのこそ枯野かれの小松こまつ、何れ花もも有る武士ものゝふよなどと言い合へりける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
今さらに我が夫を恨らみんも果敢はかなし、都は花の見る目うるはしきに、深山木みやまぎの我れ立ち並らぶ方なく、草木の冬と一人しりて、袖の涙に昔しを問へば、何ごともべて誤なりき
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その古えさえ忍ばれて「桜花本の根ざしを尋ねずば、たゞ深山木みやまぎとみてや過ぎなむ」とあるほどのふるい豪家故、比丘尼を殺し金を奪うはずなく全くの誤報らしいが、また一方にはその土地の一
深山木みやまぎはねうちはしゐる鳥のまたなくねたき春にもあるかな
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
深山木みやまぎ黒檜くろひ木群こむらに濡れて降りしばかりの雲るるなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
座禅ざぜんせば四条五条の橋の上ゆき来の人を深山木みやまぎと見て
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ゆきの人を深山木みやまぎと見て
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
往き来の人を深山木みやまぎと見て
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ゆききの人を深山木みやまぎにして
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
やゝひらけたる深山木みやまぎ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あはれ、肩に懸けられし恩賜の御衣に一門の譽を擔ひ、み居る人よりは深山木みやまぎの楊梅とたゝへられ、枯野の小松と歌はれし其時は、人も我も誰れかは今日けふあるを想ふべき。昔は夢か今はうつゝか。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
深山木みやまぎねぐら定むるはこ鳥もいかでか花の色に飽くべき
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
黄金虫こがねむし飛ぶ音きけば深山木みやまぎの若葉の真洞春ふかむらし
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ゆききの人も深山木みやまぎもなし
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
やゝひらけたる深山木みやまぎ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)