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涓滴
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けんてき
ふりがな文庫
“
涓滴
(
けんてき
)” の例文
竜池は
涓滴
(
けんてき
)
の量だになかった。杯は手に取っても、飲むまねをするに過ぎなかった。また
未
(
いま
)
だかつて妓楼に宿泊したことがなかった。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その
彼方
(
かなた
)
には、青白い遠景と光を含んだ空気とがあった。夕べの静穏が苔の下に音をたてる
涓滴
(
けんてき
)
のように、一滴ずつおりてきた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
衆呼で曰く
涓滴
(
けんてき
)
の水だも其四方より相集まるや
遂
(
つゐ
)
に利根の大河をなすかと、従前の
辛苦
(
しんく
)
を
追想
(
つゐそう
)
して
感懐
(
がんぐわい
)
已む能はず、各飲むで腹に
充
(
み
)
たす、之より山を
上
(
のぼ
)
るを数十間にして又一小流あり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
すると
何処
(
どこ
)
からともなくちょろ/\と
涓滴
(
けんてき
)
のしたゝる音が聞えて来ました。
金色の死
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
わたくしは前に優善が父兄と
嗜
(
たしみ
)
を異にして、煙草を
喫
(
の
)
んだということを言った。しかし酒はこの人の好む所でなかった。優善も良三も、共に
涓滴
(
けんてき
)
の量なくして、あらゆる遊戯に
耽
(
ふけ
)
ったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
綱
(
つな
)
を
卸
(
おろ
)
して岩角を
攀登
(
はんと
)
し、千辛万苦
遂
(
つゐ
)
に井戸沢山脈の
頂上
(
てうじやう
)
に
到
(
いた
)
る、頂上に一小窪あり、
涓滴
(
けんてき
)
の水
集
(
あつま
)
りて
流
(
ながれ
)
をなす、衆
初
(
はじ
)
めて
蘇生
(
そせい
)
の想をなし、
飯
(
めし
)
を
炊
(
かし
)
ぐを得たり、
且
(
か
)
つ
図
(
はか
)
らざりき雲霧漸次に
霽
(
は
)
れ
来
(
きた
)
り
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
さらさらと
砂
(
いさご
)
を洗う波の音の伴奏に連れて、
冴
(
さ
)
えた
撥
(
ばち
)
のさばきが泉の
涓滴
(
けんてき
)
のように、銀の鈴のように、
神々
(
こうごう
)
しく私の胸に
沁
(
し
)
み入るのである。三味線を弾いている人は、疑いもなくうら若い女である。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
涓
漢検1級
部首:⽔
10画
滴
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“涓”で始まる語句
涓々
涓水