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波打際
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なみうちぎは
此處で
彼等の
間には、それ/\
袂別の
言もあらうと
思つたので、
私は
氣轉よく
一人離れて
波打際へと
歩み
出した。
六七間
後なる
波打際に
面を
掩ひて泣けるなり。
消しアレヨ/\と呼はりける其間に靱負は
遙か
沖の方へ行し樣子なれども
星明りゆゑ今は定かに見え分ず主は
漸々に
波打際へ
馳來りて
透し見れば早靱負が
姿は
影もなく
末白波となり行しは
不思議と云ふも餘りありと
暫時呆然と
海原に立たりしが
何時迄斯て居るとも更に其
甲斐なければ
詮方盡て立歸りしが如何にも不思議は
晴ざりしとぞ