沫雪あわゆき)” の例文
春の雪はきえやすきをもつて沫雪あわゆきといふ。和漢わかんの春雪きえやすきを詩哥しいか作為さくいとす、これ暖国だんこくの事也、寒国の雪はふゆ沫雪あわゆきともいふべし。
静めてじっと念じていれば、岩だって沫雪あわゆきのようにすることもできるのですから、あなたの志望だって実現できることもありますよ
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
沫雪あわゆきのほどろほどろにけば平城なら京師みやこおもほゆるかも 〔巻八・一六三九〕 大伴旅人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
沫雪あわゆきの わかやる胸を
匂ひやかなる沫雪あわゆき
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
沫雪あわゆきくだりにいへるごとく、冬の雪はやはらにして足場あしばあしきゆゑ、熊をとるは雪のこほりたる春の土用まへ、かれが穴よりいでんとするころほどよき時節じせつとする也。
背子せこいまいまかとれば沫雪あわゆきふれりにはもほどろに 〔巻十・二三二三〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
(すべらざるために下駄げたにくぎをうちて用ふ)暖国だんこく沫雪あわゆきとは気運きうん前後ぜんごかくのごとし。
大伴旅人おおとものたびとが筑紫太宰府にいて、雪の降った日にみやこおもった歌である。「ほどろほどろ」は、沫雪あわゆきの降った形容だろうが、沫雪は降っても消え易く、重量感からいえば軽い感じである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「いざせ小床をどこに」「七重ななへるころもにませる児らが肌はも」「根白ねじろの白ただむき」「沫雪あわゆきのわかやる胸を」「真玉手またまで、玉手さしまき、ももながに、いをしなせ」「たたなづく柔膚にぎはだすらを」
接吻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)