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きづ
どやしつけられた、
背中の
痛さもけろりと
忘れて、
伝吉は、
元結が
輪から
抜けて
足元へ
散らばったのさえ
気付かずに
夢中で
長兵衛の
方へ
膝をすり
寄せた。
宿泊帳には
故意と偽名を
書したれば、
片岡氏も
妾をば
景山英とは
気付かざりしならん。
子犬の生れた騒ぎに、猫のミイやが居ないことを
午過ぎまで
気付かなかった。「おや、ミイは?」と
細君が不安な顔をして
見廻わした時は、午後の一時近かった。
総がかりで家中探がす。居ない。
陽は
高々と
昇っているらしく、
今さら
気付いた
雨戸の
隙間には、なだらかな
日の
光が、
吹矢で
吹き
込んだように、こまいの
現れた
壁の
裾へ
流れ
込んでいた。