正午おひる)” の例文
それから、正午おひるにもまたパンと葱、さて晩めしだが、これもやっぱり葱とクワス、そしてパンがほしいといえばパンもやろう。
「市ヶ谷本村町丸◯番地、亀崎ちか方ですわ。いつでも正午おひる時分、一時頃までなら家にいます。おじさんは今どちら。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新派俳優の深井ふかゐすけは、いつもの通り、正午おひる近くになつて眼を覚した。戸外そとはもう晴れ切つた秋の日である。
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
それは晩春の明るい正午おひるさがりのことでありました。紺青こんじょうたたえたような海には、穏かな小さな波があって、白い沙浜すなはまには、陽炎かげろうが処どころに立ち昇っておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
恰度今日の正午おひる頃ね。そのお客さんが着いて、直ぐ食堂に入って行って昼飯を注文したんですよ。
耳香水 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「ロチスターさん、今氣がついたのですが、もうとつくに陽は正午おひるを過ぎてしまひましたわ。パイロットはもう食事に歸つてしまつてゐます。時計を見せて下さいまし。」
「ほんとに少しばりだげっとも。——ほう、かれこれ正午おひるだ。どうも日が短けくて。」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
きょうの正午おひる過ぎに起き上りました私は、直ぐに全速力でこの手紙を書き始めました。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「今日の正午おひるの汽車で、今来たわ。惣助ッて肴屋さかなやさんが一所なの。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正午おひるのお弁当の話がまたつづけられることになって
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
正午おひるには皆んなの弁当をもって来るよ」
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
正午おひるでいい……?」
夜の構図 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
正午おひる近くに亡くなったのを、私は夢にも知らなかったんです! 考えてみると、私はちょうどその臨終の瞬間に、時候見舞いに訪ねて行ったわけでした。
それから正午おひるになるかならないうちお立ちだわ。こっちは九時や十時じゃやっと眼がさめた時分でしょう。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「イイエ。販売部は正午おひる切りであすが……何か用であすな……」
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「その女子ひとが断わっていうのには、先生には、誠に済まないのだが、どんなおりにも、正午おひるの時計と、キチンとおなじに食べつけているので、そうしないと、おなかの具合が悪いというて——何処か悪いところがあるのじゃろうが——」
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ときに、もうやがて正午おひるる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
正午おひる……?」
夜の構図 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「おや、正午おひるぢやないかね。あのサイレンは。」
買出し (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「おや、正午おひるじゃないかね。あのサイレンは。」
買出し (新字新仮名) / 永井荷風(著)