横縦よこたて)” の例文
そのころ良人おっとはまだわこうございました。たしか二十五さい横縦よこたてそろった、筋骨きんこつたくまましい大柄おおがら男子おとこで、いろあましろほうではありません。
このような巨人となったのだ、我らが手を挙げると、向うでも挙げる、金剛杖を横縦よこたてに振り廻わすと、空の中でも十字架を切る。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
その駕のすそから、おびただしい血汐がしたたりだしている。みる間に、それは幾すじもの赤い線となって、生ける蚯蚓みみずのように、土の上を横縦よこたてに流れだした。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此の島は伊豆七島の内で横縦よこたて三里、中央に大山おおやまという噴火山がありまして、島内は坪田つぼた村、阿古あこ村、神着村、伊豆村、伊ヶ島村の五つに分れ、七寺院ありて、戸数千三百余
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おのに肉飛び骨くだける明日あすを予期した彼らは冷やかなる壁の上にただ一となり二となり線となり字となって生きんと願った。壁の上に残る横縦よこたてきずせいを欲する執着しゅうじゃく魂魄こんぱくである。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)