棒組ぼうぐみ)” の例文
中学時代に私の棒組ぼうぐみに野球に凝って落第ばかりしているニキビ野郎があって、無闇に下級生の「ヨカ稚児ちご」ばかり追っ駆け廻していた。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
そんでもお内儀かみさん、わしや卯平うへいことみじめせてんのが他人ひとのこつても忌々敷いめえましいんでさ、わしや血氣けつきころから卯平うへいたあ棒組ぼうぐみ仕事しごともしたんでがすが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
例せばタナの王は海賊と棒組ぼうぐみで、インド往きの船に多少の馬を積まぬはないから、馬さえ己に献ずれば他の積み荷は一切汝らに遣ると、結構な仰せに、海賊ども雀躍こおどりして外船を侵掠した。
朝から晩まで弁当持参でたまばかり磨いている。これも棒組ぼうぐみだ。第三にと……迷亭? あれはふざけ廻るのを天職のように心得ている。全く陽性の気狂に相違ない。第四はと……金田の妻君。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おろ棒組ぼうぐみはなしけるは只今龜屋方の挨拶あいさつ昨夜ゆうべの女客の今朝早く出立せしとは不審ふしんなり殊に亭主の顏色かほいろといひ何共合點がてんゆかぬ事なりとはなしる處へ江戸の方より十人ばかりの男の羽織はおり股引もゝひきにて旅人とも見えずさりとて又近所の者にはあらずと見ゆるがいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なすにぞ彦三郎差つけながら内々にて御尋おたづね度事たきことつて參上さんじやう仕つりしなり助十樣の御名はうけたまはり候へども貴君あなたの御名は未だうけたまはり申さず何と申され候やと問ば私は助十が棒組ぼうぐみ權三と申者御用も御座らば仰聞おほせきけられよと申に若年ながら彦三郎は發明故見れば見苦敷みぐるしく如何いかにも貧窮ひんきうの樣子なれば金子きんす一分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)