栄螺さゞえ)” の例文
旧字:榮螺
やあ火の玉の親分か、訳がある、打捨つて置いて呉れ、と力を限り払ひ除けむともが焦燥あせるを、栄螺さゞえの如き拳固で鎮圧しづめ、ゑゝ、じたばたすれば拳殺はりころすぞ、馬鹿め。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
といいながらびんの毛を一本/\引抜く、仙太郎も栄螺さゞえのような拳骨を固めポカ/\殴り
介殻かいがら——大きいのは栄螺さゞえ位、小さいのははまぐり位の——見たいな家に猫のひたいよりまだ狭い庭を垣根で仕切って、隣の庭がみえても見えない振りをしながら、隣同志でも話をした事のないと云う階級の
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
むかぎしまたやますそで、いたゞきはう真暗まつくらだが、やまからその山腹さんぷくつきひかりらしされたあたりからは大石おほいし小石こいし栄螺さゞえのやうなの、六尺角しやくかく切出きりだしたの、つるぎのやうなのやらまりかたちをしたのやら
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)