“果取(はかど)” の例文
且、さきに送つた二原稿に對しても、各社は人を馬鹿にしてゐる、留守だと思つて、稿料を早く果取(はかど)らせて呉れないありさまだ。
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
午後(ごご)は手(て)が慣(な)れた所爲(せゐ)か、朝(あさ)に比(くら)べると仕事(しごと)が少(すこ)し果取(はかど)つた。然(しか)し二人(ふたり)の氣分(きぶん)は飯前(めしまへ)よりも却(かへ)つて縁遠(えんどほ)くなつた。ことに寒(さむ)い天氣(てんき)が二人(ふたり)の頭(あたま)に應(こた)へた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その焦々(いらいら)と萌(も)え立つような光の中には、折角彼の始めた長い仕事が思わしく果取(はかど)らないというモドカシさが有った。稼(かせ)ぎに追われる世帯持の悲しさが有った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
証拠が不充分で審理がなかなか果取(はかど)らないって代物なんでして、そこへその、「つぼ半」の女将が証人として現れたんですが、ところがこの証人、前の放火事件と同じようにあとから警察へ申出て
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
鑿の運びが果取(はかど)らなかった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
午後は手が慣(な)れたせいか、朝に比べると仕事が少し果取(はかど)った。しかし二人の気分は飯前よりもかえって縁遠くなった。ことに寒い天気が二人の頭に応(こた)えた。
門 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、それが出來ないばかりか、社員の給料も出せないし、印刷屋の前借約束も履行しかねるし、從つて雜誌全體の果取(はかど)りもうまく行かない恐れがあるといふことを語る。
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
思はず足も軽く道も果取(はかど)つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)