朱房しゅぶさ)” の例文
四谷よつやの御用聞で朱房しゅぶさの源吉という顔の良いのが、一応見に来ましたが、裏木戸やお勝手口の締りは厳重な上、塀の上を越した跡もないので
朱房しゅぶさでなく紺房こんぶさの十手であるところから察しると、南の手先で、かなりの岡ッ引を部屋に飼っている古顔の密偵とみえました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きな鼈甲べっこうぶちの眼鏡めがねを鼻の上にのせて、紫にあおいを白くぬいた和鞍わぐらや、朱房しゅぶさ馬連ばれん染革そめかわ手甲てっこうなどをいじっていた。
普賢菩薩の霊象にならって額に大きな宝珠ほうじゅがついている。鈴と朱房しゅぶさのさがった胸掛むなかけ尻掛しりかけ
なまめかしい朱房しゅぶさ文筥ふばことともに、江戸桃源の春風に乗って舞い込みました。
その瓢箪ひょうたんを、朱房しゅぶさのついた短槍の先にくくりつけ、羅紗らしゃ張りの笠に、みのを着込み、がらと吹雪の戸をあけて外へ出た。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
磨きひのきの板壁に朱房しゅぶさの十手がズラリと掛かっている。その下へ座蒲団を敷いて、さて
銀磨き朱房しゅぶさの十手は、平次の手にキラリと光りました。
馬のりばかまに、桔梗色ききょういろ袖無そでなしを羽織り、朱房しゅぶさむちを手にして——伊吹の牧へよく乗りまわしに出るのだった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、朱房しゅぶさの短槍を持ち直すやいな、夜の明けぬまにと、雪を蹴立てて、その場から姿をくらました。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きん元結もとゆい前髪まえがみにチラチラしている、浅黄繻子あさぎじゅすえりに、葡萄色ぶどういろ小袖こそで夜目よめにもきらやかなかみしもすがた——そして朱房しゅぶさのついた丸紐まるひもを、むねのところでちょうにむすんでいるのは
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かねて何ぞの場合にはと、ひそかに買い求めて閻王像えんおうぞう壇下だんかに隠しておいた朱房しゅぶさのついた短槍たんそうと短剣。その短剣だけをふところに呑むと、彼は用事をよそおって、ぷいと街へ出ていった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱房しゅぶさ吹螺すいらを高く手にもち、高力新九郎は、息いっぱい、吹き鳴らした。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、朱房しゅぶさむちをふったのは、それを指揮しきする徳川万千代とくがわまんちよであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)