本朝ほんてう)” の例文
「自分はさつきまで、本朝ほんてうに比倫を絶した大作を書くつもりでゐた。が、それもやはり事によると、人並に己惚うぬぼれの一つだつたかも知れない。」
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つたく、唐土もろこし長安ちやうあんみやこに、蒋生しやうせいふは、土地官員とちくわんゐんところ何某なにがしだんで、ぐつと色身いろみすましたをとこ今時いまどき本朝ほんてうには斯樣こんなのもあるまいが、淺葱あさぎえり緋縮緬ひぢりめん
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
本朝ほんてう出来の像としては、まづ此程物凄い天部てんぶの姿を拝んだことは、はじめてだと言ふものもあつた。神代の荒神たちもこんな形相ぎやうざうであつたらうと言ふ噂も聞かれた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
勸請し奉つり本朝ほんてう武家ぶけの祖神なり就中源家に於てはことほか御尊敬ごそんきやうあること御先祖ごせんぞ八幡太郎義家公此御神おんかみの御寶前に於て御元服あつて八幡太郎としよう奧羽あうう夷賊いぞく安倍貞任同宗任を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから早速さつそく今昔を見ると、本朝ほんてうの部巻六まきのろく従鎮西上人依観音助遁賊難持命語ちいぜいよりのぼるのひとくわんのんのたすけによりてぞくなんをのがれいのちをぢするものがたりうち
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)