昇進しょうしん)” の例文
平民と同格なるはすなわち下落ならんといえども、旧主人なる華族かぞくと同席して平伏へいふくせざるは昇進しょうしんなり。下落をきらわば平民に遠ざかるべし、これをむる者なし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
娘御むすめご出世しゅっせねがひ、その昇進しょうしんをば此世このよ天國てんごくともおもはしゃった貴下こなたが、只今たゞいま娘御むすめごくもうへまこと天國てんごく昇進しゃうしんせられたのを、なんとしてなげかしゃるぞ! おゝ、やすらかにならしゃれたを
昇進しょうしんしやあがった」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
第一、下等士族は何等なんら功績こうせきあるも何等の才力をいだくも、決して上等の席に昇進しょうしんするを許さず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これをれ知らずしてみずから心をなやますは、誤謬ごびゅうはなはだしき者というべし。故に有形なる身分の下落げらく昇進しょうしんに心を関せずして、無形なる士族固有の品行を維持いじせんこと、余輩の懇々こんこん企望きぼうするところなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)