“日光(ひざし)” の例文
かかる折から、柳、桜、緋桃(ひもも)の小路(こみち)を、麗(うらら)かな日に徐(そっ)と通る、と霞(かすみ)を彩(いろど)る日光(ひざし)の裡(うち)に、何処(どこ)ともなく雛の影、人形の影が徜徉(さまよ)う、……
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぽか/\した暮春(ぼしゅん)の日光(ひざし)と、目に映(うつ)る紫雲英の温(あたた)かい色は、何時しか彼をうっとりと三十余年の昔に連れ帰るのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
冷たい日光(ひざし)が雪に照返つて、家々の窓硝子を、寒さに慄(おび)えた樣にギラつかせて居た。大地は底深く凍つて了つて、歩くと鋼鐵の板を踏む樣な、下駄の音が、頭まで響く。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
正午(ひる)に近い明るい日光(ひざし)、しかし東北の山脈を抽んで、厳かに聳えている浅間山からは、いつも三筋に立つ煙りが、噴出の量多いためか、一つに集まり束となり、下界の人畜を怯(おび)やかすように
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
曇日(くもりび)なので蝙蝠(かほもり)は窄(すぼ)めたまゝ手(て)にしてゐる故(せい)か、稍(やゝ)小さい色白(いろじろ)の顏は、ドンヨリした日光(ひざし)の下に、まるで浮出(うきだ)したやうに際立(きわだ)ってハツキリしてゐる。頭はアツサリした束髪(そくはつ)に白(しろ)いリボンの淡白(たんぱく)な好(このみ)。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
冷たい日光(ひざし)が雪に照返つて、家々の窓硝子を、寒さに慄(おび)えた様にギラつかせて居た。大地は底深く凍つて了つて、歩くと鋼鉄の板を踏む様な、下駄の音が、頭まで響く。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)