ちゃ)” の例文
それから今まで借りていた紅矢の着物を返してもとの通りに着せて、自分は新しい男の着物を着込んで、お婆さんの着物はちゃってしまいました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「あゝ、湯が滲みて苦しいこと。………親方、後生だから私をちゃって、二階へ行って待って居てお呉れ、私はこんな悲惨みじめざまを男に見られるのが口惜くやしいから」
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その結果のわかるまが値打物ねうちものとは思うが、やはり秀八にこのままちゃりを喰えばわらわれた揚句あげくまる損だし、約束した通りに行けば、金も生きるし、心意気も立つし
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんな大切なものなら、打っちゃらかしとかなけゃいいじゃないか」
乳色の靄 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
『何で、それを打っちゃっておくんです。実あ私は、ずっと前から、お次さんに注意されて、気をつけて見ていたんですが……此頃は、殊に師匠のお体がせて来るし——心配でたまりません』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どこでもいい。しかしなるべく遠方へ持って行ってちゃってくれい」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)