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指招
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さしまね
進め居たりしが今老人の
突出されしを見て餘りの
勞はしさの儘彼の老人を
小蔭へ
指招き
其許は
先刻豐島屋にて酒を飮歸りし跡に何かは知ず
木綿の財布らしき物落て有しを
爾時何事とも知れず
仄かにあかりがさし、池を隔てた、
堤防の上の、松と松との間に、すっと立ったのが
婦人の形、ト思うと細長い手を出し、
此方の岸を
気だるげに
指招く。
爾時何事とも
知れず
仄かにあかりがさし、
池を
隔てた、
堤防の
上の、
松と
松との
間に、すつと
立つたのが
婦人の
形、ト
思ふと
細長い
手を
出し、
此方の
岸を
氣だるげに
指招く。