拝啓はいけい)” の例文
旧字:拜啓
役人溜りでは、夜詰よづめの同心がちょうど手紙を書きだしたところで、巻紙まきがみに「拝啓はいけい陳者のぶれば……」と書きかけ、そのすずりの水もまだ乾いていない……
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
拝啓はいけい仕候つかまつりそうろうのぶれば過日瘠我慢之説やせがまんのせつと題したる草稿そうこう一冊をていし候。あるいは御一読も被成下なしくだされ候哉そうろうや
拝啓はいけい、先生の御病気はいかがですか。私は毎日、朝礼の時になると、心配になります。大石先生がいないとせえがないと、小ツルさんや富士子さんもいっています。男子もそういっています。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
拝啓はいけい益々ます/\御壮健ごさうけん奉慶賀候けいがたてまつりさふらふしたがつて貴君きくん御来京ごらいきやうおもむき御座候得共ござさふらえどもじつ御存ごぞんじのとほ御大喪ごたいさうにて、当地たうちは普通のいへにても参列者さんれつしやのためにふさがり、弊屋へいをく宿所しゆくしよてられ、ことよるのものとうれなく
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)