折衝せっしょう)” の例文
また、城方の方へも、数回往復して、折衝せっしょうに努め、日も暮れごろに迫って、ようやく、和議の調印という運びにまで、ぎつけたのであった。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公権力を握った立場での政治的統合手段は宣示命令手段、禁圧対抗手段、折衝せっしょう協力手段、収攬しゅうらん手段、教化宣伝手段という風に分けることもできる(大石兵太郎)。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
外国との折衝せっしょうがこれほど面倒になってゆく世の中に、あの人物を山の中に送り込む当局者の気が知れない、駒井を甲州へやるのは舟を山へ送るのと同じで、しかもその舟も
市当局に折衝せっしょうしたが、何分予算がないの一点張で、如何ともし難く、と云って一日も棄ておけない問題なので、ここに一文を草し、賢明なる諸賢の深き御理解に訴える次第である。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ドイツ政府は、アフガニスタンの族王エミアに秘密条約を申し込んでいた。幾折衝せっしょうを重ねたあげく、ようやく仮条約締結の段までぎつける。外務首脳部のほかだれも知らない密約である。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
川北老が代表者となって折衝せっしょうの任にくものと見えた。果然彼は発言した。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「先頃から両軍のあいだに、和睦わぼくの内談がすすめられ、愚衲ぐのうがその折衝せっしょうに当って、数次、羽柴方と会見しておりましたが」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内々毛利側の媾和こうわ条件を提示してみたが、何度折衝せっしょうを重ねても、こちらから折れて出た五ヵ国譲渡じょうとと、清水宗治を助命してほしいという交換的条件とは
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半兵衛の計をれて、ひそかに、八幡山の明石あかし一族へ、書を送ったり、使いを求めたり、あらゆる外交折衝せっしょうをこころみているのも、そのためにほかならない。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっぱらその折衝せっしょうには数正が当っていたし、こんどの信雄の単独講和にも、何か、かれの策動が蔭にあったのではないか? ——というのがここの人々の偽わらぬ感情だった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また西蔵院や大善院側でもうすうすは知っていたが、飽くまで光秀の母として鄭重ていちょうに取り扱い、城中との折衝せっしょうが運ぶに至って、これを人質として、守将の波多野秀治はたのひではるの許へ送った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折衝せっしょうの末、庵主が矢来の前へ弁之助を伴い、衆人の前に無礼を詫びることになった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まず当然といっていいほどの折衝せっしょうであった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)