打突ぶつ)” の例文
りくちかいところには、いわかさなりっていて、そのいわ打突ぶつかるとなみのしぶきが、きりとなって、夕暮ゆうぐれのそらこまかくひかってがっています。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうち、突然にお祖父様の右手ががったと思うと、煙管が父のモジャモジャした頭の中央に打突ぶつかってケシ飛んだ。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
主人逸作が待ってそうでもあったが、ひとと話をして居るのをいことにして、息子の手紙の封筒を破った。そして今のような文面にいきなり打突ぶつかった。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
夢ではなく目の当りに打突ぶつかつたのですから、いくら強い私だつてどうすることも出来やう筈はありません。
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
字に書いたものを土台にして調べるという場合には、すぐこんな問題に打突ぶつかるのであります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
ぱたり/\と此方こちらの羽目に打突ぶつかり、彼方あちらの壁に打突かって蝋燭屋の裏に這入り、井戸端で。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし、さういふ景色に打突ぶつかることは、まあ、非常に稀だらうと思ふ。
東京に生れて (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
俄然がぜん私は大なる疑問に打突ぶつかったんです。