手討てうち)” の例文
「そこにおる婢が、無礼を働きましたから、手討てうちにいたしかけたところが、逃げて来ました。その婢を渡してくだされ、手討にいたします」
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
午前ひる少しく前のほど、用人の死骸を発見みいだしたる者ありて、上を下へとかへせしが、主人は少しも騒ぐ色なく、「手討てうちにしたり」とばかりにて、手続てつゞきを経てこと果てぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
嘉川家の御用人ごようにん平左衞門殿の申さるゝには御手討てうちになりたる者ゆゑ此方にて取置とりおきたり然樣さやうぞんずべしとのことで御座りましたが其平左衞門と申人はおそろしい人で大層たいそう見識けんしきにて私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
公はこれを聞かれて非常に怒られ、西郷の帰り次第、何人なにぴとでも差支さしつかえなきゆえ、手討てうちにせよとの命令を下した。これを聞いた大久保おおくぼはそもそも西郷を久光ひさみつ公に推薦すいせんしたのは自分である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「いえ/\三代相恩でも、兄玄蕃が手討てうちになり、嫁の關まで殺されました」
あれは先妻のたたりじゃ、わしうらみを報いるつもりであったろうが、わしを恐れて、平三郎の命をとったのじゃ、舟の傍へ浮きあがった女は、宵に平三郎が手討てうちにしようとしたおなごだと云うたが
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
にらみ付猶何とか申たならば又私しをも手討てうちに致しさうないきほひなりしと云ば大岡殿夫は何時頃いつごろ手討てうちに成し樣子なるやと有に吉兵衞ハイ何時頃いつごろで御座りますか日も申きけられず大概おほかた海川へでも死骸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)