おもい)” の例文
旧字:
彼らの江戸獄中にあるや、ただ法廷において相まみゆるを得るのみ。しかれどもその唱和の詩を読めば、人をしておもいに禁ぜざらしむるものあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
じぶんの家へれて来て和歌をみあっておもいを述べ、それから観眤かんじを極めると云うほとんど追字訳ついじやくのような処もあって、原話げんわからすこしも発達していないが
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
わらってくれ。詩人に成りそこなって虎になった哀れな男を。(袁傪は昔の青年李徴の自嘲癖じちょうへきを思出しながら、哀しく聞いていた。)そうだ。お笑い草ついでに、今のおもいを即席の詩に述べて見ようか。
山月記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それは六郎が武蔵むさしの領地と鎌倉の間を往復するたびに通ることになっているので、むすめの像に時おりその姿を見せて、せめてものおもいをやらせようとする優しい親心から出たことであった。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼の刑に就かんがために江都こうと檻送かんそうせらるるや、彼自からおもいして曰く
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)