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憂愁
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ゆうしゅう
ふりがな文庫
“
憂愁
(
ゆうしゅう
)” の例文
悟空には、
嚇怒
(
かくど
)
はあっても苦悩はない。歓喜はあっても
憂愁
(
ゆうしゅう
)
はない。彼が単純にこの生を
肯定
(
こうてい
)
できるのになんの不思議もない。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
わたしは自分を、幸福だと思っていたわけではない。現に家を出た時も、思うさま
憂愁
(
ゆうしゅう
)
にひたりに行くつもりだったのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
また「秋の歌」のうちで「白く
灼
(
や
)
くる夏を惜しみつつ、黄に
柔
(
やわら
)
かき秋の光を味わわしめよ」といって人生の秋の黄色い淡い
憂愁
(
ゆうしゅう
)
を描いている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
だが、もっと悲劇的な
憂愁
(
ゆうしゅう
)
を
湛
(
たた
)
えた
人柄
(
ひとがら
)
を想像していたのに、極めて快活で人には
剽軽
(
ひょうきん
)
らしいところを見せ、出迎えの連中の中での花形になっていた。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それが今は
憂愁
(
ゆうしゅう
)
となり、ほんとうの悲痛となり、いくたびかかれの目に涙を浮かばせたほどのはんもんとなった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
▼ もっと見る
じつは無に帰したものの
遣瀬
(
やるせ
)
ない
憂愁
(
ゆうしゅう
)
、抑えに抑えつけられた絶望なのだと、ひとしきりそんなことを考えた。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
少しく
仰山
(
ぎょうさん
)
に言いますと、娘が恋慕の情はにわかに恐怖の情と
憂愁
(
ゆうしゅう
)
の情に変って、それでは自分の母が死んだのではないか知らんという考えを起したです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
静かな深い
憂愁
(
ゆうしゅう
)
が、ロシア十九世紀文学の特質を成していることは、今さら言うまでもなく周知の事実です。
「はつ恋」解説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
ふわふわとどこまでも
渚
(
なぎさ
)
を
彷徨
(
さまよ
)
っていたが、夜の海の
憂愁
(
ゆうしゅう
)
にも似た思いに沈みがちな彼女とは、全く別の世界に住んでいるような、相手が相手なので、何か飽き足りなそうであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのはげしい語気に
衝
(
つ
)
かれて杉本は思わず「なるほどなあ」と声をあげ、検査用紙をばさりと閉じてしまった。すると、川上忠一の痩せとがった顔がもう全然別な
憂愁
(
ゆうしゅう
)
に
蔽
(
おお
)
われていた。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
その唄の節はひどく秋めいた、
憂愁
(
ゆうしゅう
)
のこもったものであった。私は何度となく熱い茶を
啜
(
すす
)
りながら、手紙を出す機会を
狙
(
ねら
)
っていたが、与一はいつまでもその淋し気な唄を止めなかった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
折ふしここに、御主人の
憂愁
(
ゆうしゅう
)
を開く人があらわれた。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お前はまるで、この宇宙のあらゆる財宝を、ひとり
占
(
じ
)
めにしているかのようだ。
憂愁
(
ゆうしゅう
)
でさえ、お前にとっては
慰
(
なぐさ
)
めだ。
悲哀
(
ひあい
)
でさえ、お前には似つかわしい。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
憂
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
愁
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
“憂”で始まる語句
憂
憂鬱
憂慮
憂目
憂欝
憂悶
憂身
憂鬱症
憂世
憂惧