ふう)” の例文
そして驚く顔でも見てやろうか、と思ったが、馬鹿げているような気がしたので、そのまま、目をつぶって眠ったようなふうをしていた。
香油 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
うすか、解職願お出しエんしたのすか? 俺ア少しも知らなごあんしたオなす。』と、秋野は初めて知つたと言ふふうに言つた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そこで、銑吉がどんな可笑おかしふうをしたかは、およそ読者の想像さるる通りである。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『好し、好し。今帰つてやるよ。僕だつて然う没分暁漢わからずやではないからね、先刻御承知の通り。処でと——』と、腕組をして凝乎じつと考へ込むふうをする。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
うしろに大きい車を引きずっているのもかまわぬと言ったふうで、首を長く伸して道ばたの草を喰いはじめた。それでからだを移すたびに、車はかたりと動く。
黄昏 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
これも今來た許りと見える女教師の並木孝子は、一人で其人數を引受けて少し周章まごついたといふふうで、腰も掛けずに何やら急がしく卓の上で帳簿を繰つてゐた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
これも今来た許りと見える女教師の並木孝子は、一人で其人数を引受けて少し周章まごついたといふふうで、腰も掛けずに何やらいそがしく卓の上で帳簿を繰つてゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と言ひながら、耐らないと言つたふうに頬擦りをする。赤兒を可愛がる處女には男の心をくすぐる樣なところがある。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それは多分蚊帳が無いので、然うして蚊を逐出してから寝たのだらうといふ事であつた。其麽そんなに苦しい生活をしてゐて、渠にはちつとも心を痛めてゐるふうがない。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と言ひながら、耐らないと言つたふうに頬擦りをする。赤児を可愛がる処女には男の心を擽る様なところがある。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
山路三里、往復で六里あると聞いても、左程驚きもしなければ、躊躇するふうもなかつた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
(其處は私の室の前、玄關から續きの八疊間で、家中の人の始終通る室だが、眞佐子は外に室がないので其處の隅ッコに机や本箱を置いてゐた。)編物に倦きたといふふうで、片肘を机に突き
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
(其処は私の室の前、玄関から続きの八畳間で、家中の人の始終しよつちゆう通る室だが、真佐子は外に室がないので、其処の隅ツコに机や本箱を置いてゐた。)編物に倦きたといふふうで、片肘を机に突き
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『あのふうぢやうせ学校へ泊るんでせうね?』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)