情合じょうあ)” の例文
むら人々ひとびとは、その子供こどもがいなくなってからも、ゆきって、西にしやま牛女うしおんな姿すがたあらわれると、母親ははおやと、子供こども情合じょうあいについて、かたったのでありました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういう時には清三は皿に瓜のさいたのを二片三片入れて、食う食わぬにかかわらず、まず母親の寝ている枕もとに置いた。母子おやこ情合じょうあいはんでからいっそう厚くなったように思われた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
家とか位置いちとかいうことを、たがいに目安めやすにせず、いわば人と人との結婚であったならば、自分の位置いち失望的しつぼうてき変遷へんせんがあったにしろ、ともにあいあわれんで、夫婦ふうふというものの情合じょうあいによって
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
冒頭ぼうとうに掲げた米人の言うごとく、おのおのがいさぎよい愛情から起算して、(親なり妻なり子なり、最も自分に近いゆえに最も自分に親しい情合じょうあいに基づいて)おのれの日々ひびの事務をおこたらず、百姓は百姓
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)